遠い、遠い宇宙の空の果て。虚空の世界に鋼鉄の構造体がある。その巨大な建造物は棺のような形をしている。
何一つ、生命の存在しないこの世界で棺は何を収めるのか?
その主なき棺から遠く果てを見る者がいる。果てにあるのは地球。モニターに映る青い星がある。
「あれが故郷(ふるさと)なの?」
幼い声の問いかけが禿げあがった頭の老人に向けられる。
「命が生まれて、また還る星だ。だが人々はずっと争いを止めず、それを星の外にまで広げようとしている」
「戦争しているの?」
柔らかな金色の房が少女の肩からすり落ちる。
「その意思を一つにすれば戦争は終わる。人類は大いなる困難を迎え対峙することになるだろう。やがて来るものとの対話に向けて」
「よくわかんない……」
少女は老人と繋いでいた手を放して座り込むと犬のぬいぐるみを拾い上げる。
「今はまだそのときではない。次にお前が目覚めたとき、変革の時代が始まるだろう。ヴェーダと共に」
「ヴェーダ? うん、繋がってる。お勉強は嫌い」
エメラルドの瞳が老人を見上げる。
「マリア、今はお休み。時が来るまで」
「うん、お休みなさい。イオリアお爺ちゃん……」
老人の指がマリアの額に触れて少女は目を閉じる。そして老人の腕に抱かれてマリアは永い眠りに就いた。
およそ百年に及ぶ長い眠りに……
何一つ、生命の存在しないこの世界で棺は何を収めるのか?
その主なき棺から遠く果てを見る者がいる。果てにあるのは地球。モニターに映る青い星がある。
「あれが故郷(ふるさと)なの?」
幼い声の問いかけが禿げあがった頭の老人に向けられる。
「命が生まれて、また還る星だ。だが人々はずっと争いを止めず、それを星の外にまで広げようとしている」
「戦争しているの?」
柔らかな金色の房が少女の肩からすり落ちる。
「その意思を一つにすれば戦争は終わる。人類は大いなる困難を迎え対峙することになるだろう。やがて来るものとの対話に向けて」
「よくわかんない……」
少女は老人と繋いでいた手を放して座り込むと犬のぬいぐるみを拾い上げる。
「今はまだそのときではない。次にお前が目覚めたとき、変革の時代が始まるだろう。ヴェーダと共に」
「ヴェーダ? うん、繋がってる。お勉強は嫌い」
エメラルドの瞳が老人を見上げる。
「マリア、今はお休み。時が来るまで」
「うん、お休みなさい。イオリアお爺ちゃん……」
老人の指がマリアの額に触れて少女は目を閉じる。そして老人の腕に抱かれてマリアは永い眠りに就いた。
およそ百年に及ぶ長い眠りに……
#
by ephemerall
| 2016-08-13 06:37
| ガンダムoo